「時」に呼応する家 - 人と環境の多様な時間との関わりを顕在化させる家 -

小金井の家 「桜時」

桜の開花は、「時」の移り変わりや儚さを教えてくれる。日々のくらしの様々な「時」に気づき、衣服が衣替えやお下がりを受け継いでいくように、季節やくらしの変化に応じて適切に更新できる家を考えた。
交通量の多い南西道路の向かいに、桜並木と大学キャンパスが広がる。3人家族の将来の変化に柔軟に対応できるように、南側は1・2階ともに必要に応じて仕切れるワンルームとし、北側は水廻り・収納等のサポート空間とした。
スクリーンや障子等の開閉により、時節に応じた光や熱、空気、眺望の取捨選択を行いつつ、街に向かって開いていく。家の仕掛けと居住者の判断・行動により、地域の自然に育まれる、小さな家を目指す。

-環境への配慮-
太陽熱の蓄熱・循環システム「そよ風」を採用し、小屋裏・床下空間を確保。また1・2階ともに、夏季の遮熱、冬季の採熱に最適な南面の軒の出を調節する。
また木製ルーバー・ハニカムプリーツスクリーン・障子・サッシなどの開閉操作により、プライバシーを守りつつ時節に応じた適切な光や熱、空気の取入・遮断を行う。建物と居住者の適切な判断の相乗効果により、エアコン使用を最低限に抑えた、自然と共に暮らす家となった。


 所在地:東京都小金井市 
 構造:木造在来
 規模:地上2階 
 延べ床面積:90.05㎡(1階 40.99㎡/2階 49.06㎡)
 設計・監理:佐藤 勉 +須藤 慶一
 工事種別:新築
 完成年月:2013年4月
 用途:住宅